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乳児湿疹・子どもの肌荒れ

子どものブツブツが出た時の受診の目安

受診を急ぐ咳のケース

子どもの体にブツブツが出て、次のような状態や症状が起きている方は、すぐに受診しましょう。夜間の場合は救急外来をご利用ください。

子どものブツブツが出た時の受診の目安
  • 高熱が出て、ぐったりしている
  • おしっこの回数が減った、鼻水やよだれが出ない
  • 辛そうにゼイゼイと呼吸をしている
  • 全身にじんましんが出て、眠れない
  • 何かを食べた・薬を飲んだ直後に発疹が出た
  • 鼻血が止まらない
  • ひどい腹痛が起きている
  • 何度も吐いてしまう
  • 関節が腫脹している
  • 膝より下に紫がかった斑点ができた
  • 水ぶくれ、頬や舌の赤み、発熱が生じた

様子を見てから受診してもいいケース

様子を見ている間は、お子さんの体の状態やブツブツの状態についてしっかりとご確認ください。次のような変化があった場合は、乳児湿疹やアレルギー症状が考えられますので、当院までご相談ください。

  • いつもと違う発疹が出た
  • ゆがっている
  • ブツブツの状態が悪くなった
  • ブツブツが他の部位に広がった、範囲が大きくなった

上記のいずれかに該当する場合には、基本的にご自宅で様子を見てからの受診でも構いません。もちろん、ご不安な場合にはいつでもご相談ください。

子どもの肌荒れの原因は?

乳児湿疹

乳児期に現れる湿疹です。頭、額、耳の周り、首などに、ニキビのような赤い湿疹が現れます。かゆみを伴うため、赤ちゃんは手で触ろうとします。
皮脂、空気中のさまざまな物質による刺激が湿疹を引き起こします。赤ちゃんは皮膚のバリア機能が低いため、湿疹が起こることは珍しくありません。ただし、アトピー性皮膚炎との鑑別も必要であるため、気になった時には当院にご相談ください。

脂漏性湿疹

頭の汚れと分泌された皮脂が合わさって固まった黄色のかさぶたのような湿疹です。赤ちゃんの髪の毛の生え際、眉毛、おでこなどに見られます。お湯のみではこの脂を洗い流せないため、シャンプーや石鹸を使いましょう。入浴前に十分量のオリーブオイルやベビーオイルを塗布し、ふやかしてから洗浄すると落ちやすいです。時が経つにつれて少なくなるため、力づくで剥がさないようにしましょう。

新生児ざ瘡(にきび)

生後1週間~3か月程度の赤ちゃんに認められるニキビです。思春期の子どもと同様におでこや頬にブツブツが現れますが、時間の経過とともに消えていくため、赤く腫れあがらない場合、治療の必要はありません。

汗疹(あせも)

赤ちゃんは体の表面積が小さく、汗を分泌する穴が密になっています。そのうえ、成人よりも新陳代謝が良く約2倍の汗をかくため、あせもができやすいと考えられています。
汗をかきやすい背中や顎の下、首、顔によく現れます。

おむつかぶれ

おむつと接触している部分(特に肛門の周り)に赤いブツブツができます。便や尿のアンモニアによっておむつの中がアルカリ化すること、蒸れて皮膚のバリア機能が低下すること、おむつとの摩擦などが原因として考えられます。

皮脂欠乏症・皮脂欠乏性湿疹

お母さんから受け取っていたホルモンの量が減少することで、生後数か月頃から、赤ちゃんは皮脂の分泌が減少します。この時期に、皮脂の不足によって起こる湿疹です。

アトピー性皮膚炎

皮膚のバリア機能の低下に、さまざまな環境因子が加わることで起こる皮膚炎です。首、肘・膝の裏、足首などにかゆみを伴う湿疹が現れます。
もともとのアレルギー体質も発症リスクに影響します。

乳児湿疹など子どもの
肌荒れの治し方

乳児湿疹など子どもの肌荒れの治し方皮膚の清潔を維持すること、保湿剤にて適切なスキンケアを行うことが大切になります。
季節・気温などに気をつけて衣類の調整をしてあげる、肌着・おむつをこまめに交換してあげる、かゆがる時には冷水で絞ったタオルで冷やしてあげるといったことも、肌荒れ対策として有効です。
当院では下記2点を治療方針としております。

皮脂を落とさない

皮膚を清潔にすることは大切ですが、ナイロンタオルなどでゴシゴシと擦り皮脂を落とし過ぎると、皮膚のバリア機能が低下し、乾燥・かゆみがひどくなってしまうことがあります。石鹸をよく泡立てたら、手のひらで伸ばして洗う程度にしましょう。
お風呂の温度は38~40℃のややぬるめとし、のぼせるような長風呂は避けましょう。保湿効果の期待できる入浴剤などを使用してもよいですが、硫黄が含まれるものは避けておきましょう。
また、冬場などひどく空気が乾燥している時には「石鹸を使わずお湯だけで洗う日」を挟むなど、季節に合わせた対処も必要です。
石鹸やシャンプー、洗顔料は、子ども用の、刺激が少ない弱酸性・無香料・無着色の製品のうち、使用感の良いものを選びましょう。

外用薬の適切な使用

外用薬としては、保湿剤、炎症を抑える薬を使用します。
保湿剤(保湿外用薬)は、皮膚の乾燥を抑え、バリア機能を維持するために使用します。お風呂の後、洗顔後、身体を拭いた後など、小まめに使用してあげてください。
炎症を抑える薬としては、主にステロイド外用薬を使用します。炎症のタイプに応じて、ヤヌスキナーゼ(JAK)阻害外用薬、ホスホジエステラーゼ4(PDE4)阻害外用薬などを使い分けます。使用する量や塗る範囲など、丁寧にお伝えしますので、ご安心ください。

長期間にわたって皮膚トラブルが続くと喘息やアトピー性皮膚炎、食物アレルギーといったアレルギー疾患に繋がる恐れもあるので、早めに治しておく方がよいと考えます。

乳児湿疹・子どもの肌荒れQ&A

おすすめの保湿剤、塗り方を教えてください。

保湿剤は、皮膚の状態によって使い分けます。そのため、これが一番良いということは言えませんが、夏であればサラッとしたローションタイプ、冬であればクリームタイプを処方することが多くなります。 塗り方は保護者さんにご説明しますが、以下に、基本的な保湿剤の塗り方をご紹介します。

  1. 保護者さんの手を石鹸できれいに洗います。
  2. お子さんの入浴後、よく水分を拭き取ります。
  3. 水分を拭き取ったら、すぐに保湿剤を塗り始めます。
  4. たっぷりと、皮膚に乗せるようにして優しく塗りましょう。
  5. 関節の内側、シワなども広げて塗ってあげましょう。

ステロイド外用薬の量が多すぎる気がして、副作用が心配です。

ガイドラインで示される量を使用すると、たいていの保護者さんが「量が多い」と感じるようです。しかし、ステロイドはガイドラインに従い正しく使用することで、副作用を抑えながら、しっかりと効果を得ることが可能になります。特に初期には量が多くなりますが、症状が落ち着いてから少しずつ減量していきます。この時、自己判断で使用を中止しないように注意しましょう。
最終的には保湿剤などを用いた保湿のみに切り替えられますので、ご安心ください。当院では、用法・用量をお一人おひとり丁寧にご説明します。ご不安がある方は、ぜひ一度当院にご相談ください。